2014年9月14日日曜日

「食べること」の大切さ・池波正太郎「食卓の情景」に思うこと

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久しぶりに手に取った池波正太郎の

インターネットがない時代、食への並々ならぬ関心があり手に取った本です。
この本が世に出たのは
1973年 今から40年前のこと。

ベストセラーであっても良書でもあっても時代の淘汰と共にほとんどが消えていく
書物の世界において、かくも長く書店に並ぶことは奇跡だと改めて思います。

平成の世になり、確実になくなりつつある日本の美風
「粋」
池波正太郎の書物から、それらを多く学びました。

最近になって、当時をおもい出しながら、母がこんなことをいった。
「あのころ、私はつとめが終わると、御徒町の蛇の目寿司によく行ったもんだよ」
「ひとりで?」
「そりゃ、ひとりでさ」
「おれは一度も、つれて行ってもらわなかった」
「だれもつれてなんか行かない。それだけのお金がなかったからね。私ひとりで好きな
 ものを食べていたんだ」
「ひどいじゃないか」
「女ひとりで一家を背負っていたんだ。たまに、好きなおすしでもたべなくっちゃあ、はたらける
 もんじゃないよ。そのころの私は、蛇の目でおすしをつまむのが、ただひとつのたのしみだった
 んだからね」
先ず、こうしたわけで、大好物のすし一皿を食べることによって、女ひとりが老母をと子どもたち
を抱えて立ちはたらくエネルギーも生まれてくる、ということになる。
それほどに、
「食べる」
ということは、たいせつなものなのである。

今の日本人の食生活は、私どものような年齢に達した者から見ると、激変しつつある。
近い将来に、われわれと食物の関係は、おもいもかけなかった状態へ突入するかもしれ
ない。
ゆえに、この「食卓の情景」が、あるいは記録と
して意味をもつようになるかもしれぬ。
昭和48年 春 「引用 食卓の情景 池波正太郎より」


池波正太郎がこの書を残してから、さらに世の中は激変しています。
どんなに世の中が変わっても、
「食べる」
ことの大切さは、変わらない。そのことを痛感します。
流通が格段に進化し、世界の食材がその土地で味わえる「鮮度」で体感できることは
喜ばしい変化。
池波正太郎が、今の新鮮なエキストラバージンオリーブオイルを味わったら、表現をしたの
だろう?
そんな想像をしてみる昨今です。
「食べること」の中心に、Terra Creta Estateはあります。


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